処女膜

哺乳類のメスは処女膜(Hymen)を有する。 

存在理由は定かでない。 

「もぐらと人間にしかない」というのは間違いである。 

処女膜というが実際は膣の一部が狭まったものであり、特別な器官ではないと思われる。 

ひとつないし複数の穴が開いており、経血などの通り道があるが、完全閉鎖(処女膜閉鎖症)している場合は外科的に処置する必要がある。 

また、厚みがあり伸びにくく性交困難である場合(処女膜強靭症)も外科的処置が必要な場合がある。 

ある人は射精後の精子の流出を防ぐためという説を唱えているが疑わしいと思う。 

そのために役立っているとは思えないからである。 

私としては、膣形成過程で内部と表面部の成長に差異が生じ、単にその部分が取り残された結果ではないかと考える。 

つまり、直径が細い状態で全体が形成された後、内部のみが更に成長することで直径が変わるからではないだろうか。 

機能として不要なのだから、いわばプラモデルなどのバリのようなものなのだろう。 

 

性交により処女でなくなることを古くは「破瓜(はか)」や「新鉢を割る」などと言った。 

今は処女喪失などと言う。 

実際は初めての性交によって破れる(裂ける)のは半数程度だという。 

出産の経膣分娩では大きく裂けことを防ぐため、通常はハサミで切る。 

分娩時に用いるのは手術用のハサミで、クーパーを用いることが多い。 

マンガ「ゴッドハンド輝」で癒着を剥がすのに使っていたハサミである。 

このクーパーはCooperで、イギリスの外科医Dr.Cooperに由来する。 

1800年代のことだ。 

もうひとつ、クーパーというものに馴染み深いものがある。 

ガマン汁などという男性器から出る腋で、ドイツ語読み(日本語読みかもしれない)でカウパーというのが定着している。 

これもイギリスの外科医Dr.Cowperに由来する。(イギリス人なので英語読みのクーパーが本来) 

1600年代末のことである。 

 

時代と地域で処女に対する価値観が違う。 

あるいは宗教観によっても違うだろう。 

いずれにせよ、処女を尊ぶ傾向と、避ける傾向が同居している。 

日本では乙女と訳しているが聖母マリアは処女懐胎(かいたい)とされており、崇拝の対象ともなっている。 

ところが喪失時の出血に対し悪いイメージがあり、初夜権などとして夫以外の者に破瓜を委ねることもあった。 

 

今の日本でも、処女を守りたいという人もいれば、処女を捨てたいと思う人もいる。 

闇雲に捨てる必要はない。 

一番好きな人と、ちゃんとした思い出となるようにして欲しいと思う。 

 

日本語での処女の語源は、処は「ところ」であり「居る」という意味で、「実家に居る女」であり未婚女性のことで、生娘(きむすめ)の意味に使われるようになった。 

嫁入り前」という感じである。 

元は中国語だろう。 

古い中国語では処女を「かわいらしい女性」を指した例があるという。 

英語のHomelyとほぼ同じ(アメリカでは逆で、不美人を指す)なのが面白い。 

英語ではVirginだが、童貞のことも表す。 

語源はラテン語のVirgo(ウィルゴー)で、処女・乙女の意味である。 

聖母マリアは「The Virgin」と、定冠詞を付ける。 

アメリカのバージニア州(Virginia)は、Virgin Queen((エリザベス 1 世)にちなんで名づけられた。 

結婚式のヴァージン ロード、バージン オイルなど、Virginは普通に使われる言葉である。 

同じ意味で、Maidenがあり、これは古代英語のMaid(娘・少女・処女)に由来する。 

Mermaidのmaidである。(男の方はMerman) 

現代のMaidはメイド喫茶のメイドの意味である。 

作家などで最初の作品を処女作などという。 

英語のmaiden workからの直訳だろう。 

 

Vagina(ヴァジャイナ)と何となく似ているが、こちらは「(さや)」の意味である。 

香り付けに使うバニラ(Vanilla)と同じ語源だが、これも鞘の意味からだ。 

バニラビーンズの入っている鞘からだろう。 

ある本では、バニラの根が女性器の形をしているからというのを読んだが・・・ 


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