出産は出産予定日およびその前3週(37週+0日)から後2週の前日(41週+6日)までが望ましい。
それを正期産という。
つまり35日もあるから、大抵はこの間に生まれる。
予定日は以前は最終月経日から280日としていたが、今ではエコーで成長を確認し、その大きさから割り出すようになっている。
いずれの場合でも出産予定日に産まれるのは5%程度だという。
実際の出産は、38週から41週までが多い。
育ちすぎた場合は経膣分娩が望めなくなったり難産になるため、早めに生ませようとする傾向があるようだ。
産科医は生まれてよい時期(37週以降)になると、とにかく歩けと言う。
運動というより振動かもしれない。
お産がいつ始まって、いつ出産になるかは誰にも分からない。
医師もスタッフも24時間、いつ出産があってもいいようにしているのだから大変である。
個人開業医だと代わりがいないから、深酒もできないし、遊びにも旅行にも行けない。
ただのスケベでは勤まらない、過酷な仕事なのである。
産科も病院だから、休みもある。
しかし出産は時間も休みも関係なくやってくるのだ。
休日、深夜など料金が割り増しになるのである。
盆と正月は休みが長いからそれに引っかかりたくないという気持ちになる。
そのためか、その直前に出産ラッシュがあるようだ。(実体験)
そのくらいはコウノトリも願いを聞いてくれるのかもしれない。
ちなみに、早産などが少ないのは7・8月生まれなのだという。
お盆前に生まれるのがいいかもしれない。
陣痛の始まる前に、赤ちゃんの頭が降りてきて恥骨が開く。
ピキっと音がすることがある。
赤ちゃんが出ようとしているのだろうか。
おしるしというちょっとした出血があることもある。
大量の出血があった場合は医師に相談すべきだ。
陣痛が来ると出産が始まると思うだろうが、検査してみないと判らない。
出産に向け、陣痛のような痛みが繰り返しあるのである。
検査器具を付け陣痛を計測し、子宮口の開き具合によって判定される。
子宮も練習するのだ。
定期的に陣痛があって、その間隔が狭まってくると本当の出産に向かう。
10分間隔を切ると産院へ行き、出産の開始となる。
少しずつ子宮口が開いていく。
直径10センチに開くと赤ちゃんが出てこれるようになる。
羊水(胎児は羊膜の中の羊水に浮かんでいる)が漏れ出すことを破水という。
子宮口が開いて自然に破水することを適時破水といい、最も良いタイミングである。
陣痛がなく破水することを前期破水、陣痛後で子宮口が開く前に破水することを早期破水という。
前期破水でも37週前と後では管理が異なる。
正期産になるなら産ませた方が安全ということにもなるからである。
赤ちゃんは、最初は頭を横向きにして骨盤をくぐり、その後正面を向く。
そうでない場合もあるし、逆子の場合もあるが、それらの場合は余計に時間がかかることになる。
赤ちゃんで一番大きなのは頭である。
関節が柔らかいので、頭さえ通ればするりと出てこれるのだ。
実際、人間の赤ちゃんほど(比率にして)大きな頭を持った動物はいない。
育ちすぎると出て来れないから、動けないのに生まれてくるのも人間だけである。
有袋類の赤ちゃんは小さいが自分で動いて育児嚢に入るし、パンダも小さいが自分で動いておっぱいまでたどり着く。
馬やヤギなどは、生まれてしばらくすると立ち上がるのだ。
人間は立ち上がるまでに生まれてから1年近くもかかるのである。
法的には赤ちゃんの頭が見えた時点から人として扱われる。
ひとりの人間として法律で保護されるようになるのだ。
呼吸方にふたつあり、「ひっひっ、ふ~うん」と「はっはっはっはっ」である。
どちらをするのか、助産師や看護師に指示されるので心配いらない。
いきむというのは実は自然な反応なのである。
「うん」のところはいきまないように付け足すもので、音程が上がる。
声を出すのだから、息を吐くのだが、2回吸って1回吐くと勘違いしている人がいる。
そんな分けない。
そのまま出産させると膣口が裂ける場合が多い。
一番大変なのはいきみたいときにいきむなということかもしれない。
いきんではいけないときにいきむと裂ける危険が多くなる。
ゆっくり会陰が広がっていくのを待てればよいが、大抵は裂けるようである。
裂けるより、綺麗に切った方が予後が良いため、クーパーなどのハサミを使って膣口をバチっと切る。
尤も、医師によっては自然に切れた方が予後が良いとか、切らなくても赤ちゃんに支障はないなどという。
多分、点数的には切って縫合した方が高くなるだろうし、分娩時に切らないように医師に頼める人もいないだろう。
痛みに耐えるため、脳内麻薬が出て、眠くなることがある。
女にしか耐えられない痛みなのだそうだ。
赤ちゃんの頭が通ると、後はするっと出てくる。
産声を上げさせて、酸素呼吸を開始しなくてはならない。
呼吸が始まると、胎盤・臍帯の役目も終わりである。
すぐにではなく、数分間臍帯血を赤ちゃんに与えてから結紮して、へその緒をきるようにすべきだという研究結果がある。
遅らせただけで貧血や脳出血の率が下がるというデータが出たというのだ。
昔はすぐに結紮すべきだということがあったそうだが、逆だったということになる。
この後は後産(あとざん)である。
不要になった胎盤の脱落で、子宮の収縮が遅いと大量に出血する。
最後に来るのが縫合である。
出産までは赤ちゃん第一だが、ここでママは女性としての感情に戻るようだ。
会陰部をじっくり縫合するのだから、凝視されること10~20分。
丁寧にやっているのだろうが、長いと「あの医者はスケベだ」ということになるようだ。
産婦人科医は大変である。
出産後は大童である。
大手術をしたようなものなのだが、すぐに赤ちゃんの世話もしなくてはならない。
特に授乳が3時間置きに一日中続くのだ。
昔は赤ちゃんと離され授乳だけしていたのだが、今はずっと赤ちゃんと一緒で、オムツ替えもママの仕事になる。
産院に居られるのは5日ほどしかない。
その間に新米ママは赤ちゃんのお世話の仕方を覚えなくてはならないのだ。
この大変さも男には真似できないかもしれない。
赤ちゃんは最初は酸素呼吸がうまくできず、チアノーゼになる。
だから赤いから赤ちゃんなのだろう。
その後に酸素呼吸が機能することで、余った赤血球を排除するようになる。
赤血球を分解するのだが、そのため黄疸症状が現れることがある。
最初のひと月、新生児の間は本当に気が抜けない。
しかし、ひとりにたったひと月しかない新生児期なのだから、大事にして欲しいものである。
